電車内で見た不思議な光景
一昨々日のこと。仕事が早めに終ったので、まだ明るいうちに歸宅の途についた。電車もあまり混んでをらず、なんとか坐ることができた。車輌のはしの方の三人がけの座席だった。
ふと車輌連結部を見ると、一人の男が入ってきた。となりの車輌からこちらの車輌に入ってきたのではない。車輌と車輌の連結部に入ってきたのだ。
連結部に入ると、そのドアの上部のガラス部分に風呂敷みたいな布を暖簾のやうに吊り下げる。といっても窓が完全に隱れるやうなかたちではなく、こちらから少し見える隙間があった。
布をかけ終はると、男は連結部に坐った。御存じのとほり、ドアの下の方は金属製なので下半身は見えなかったけど、正坐をしてゐるやうな雰圍氣だった。そしてそのドアと、かけた布のせゐではっきりとはわからなかったけれども、なんか拜んでゐるのかな、といふ感じだった。
あれは一體なんだったんだらう。なにをしてゐたんだらう。さすがに不氣味だったので、わたしもわざわざドアちかくによってのぞきこむ氣にはなれなかった。しかし車輌間を移動しようとする人がいたら邪魔だっただらうな、とはおもうが、もし移動しようとする人がゐたとしても、やっぱり不氣味なのであきらめてしまふだらうな。
それにしても本當にあれはなんだったんだらう。
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