白いタンポポのおもひで
デイリーポータルZに「白いタンポポを探す旅に出た」といふ記事がのってゐる。それを讀んでゐて、小學生のころのことを思ひだした。
一年生のころだったと思ふ。あるいは二年生だったか。とにかくそのころ、僕は白いタンポポがあるといふことを聞き、もう見たくて見たくてしかたがなかった。當時、僕は大阪府に住んでゐた。デイリーポータルの記事には「西日本ではわりと普通に見られるらしい。」と書いてあるが、中四國九州のことはいざ知らず、近畿ではやっぱり滅多に見かけなかった。だからこそ一度見てみたい、と少年の日の僕は思ったわけだ。
それが實現したのが遠足のとき。お辨當の場所となった野原に白いタンポポが咲いてゐた。僕はもちろん、白いタンポポの前で、それをながめながらお辨當を食べた。
その感激は大きく、後日、僕はそれを繪に描いた。多分、圖工の時間の課題だったんだらうと思ふけど。
そしてその繪は、校長室前の廊下に貼り出された。
ここには生徒の繪を貼り出す掲示板があり、つねに十點前後の作品が掲示されてゐる。そのなかでも一番よい場所(とあとで聞いた)に僕の繪が掲示されたのだ。
僕に繪心はまったくない。といふよりもってのほかのへたくそだ。兩親ともに繪はだめなので、遺傳だらう。その僕がいままでにただ一度、繪でほめられたのがこのときだった。
なにしろ小學校の一年だか二年だかのことだから、繪がへたであっても氣おくれなどはまったくない。ただただ、まへから見たかった白いタンポポをはじめて見た感激を繪にした。きっとそれが見る人にもつたはったのだらうと思ふ。
この記事を見て、そんなことをふと思ひ出した。
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