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ミスリード

知ってゐる人はあまり多くないだらうが、「時評」といふ月刊誌がある。官庁ニュース、といふサブタイトルのついた雜誌だ。
この雜誌に「菜々子の一刀両断!ってわけにはいかないが…」といふ連載がある。執筆者は総合社会政策研究所 寺内香澄さん。小料理屋をいとなんでゐる奈々子さんといふ女性に假託して時事批評、といったおもむきの連載だ。
12月號は「第48夜 新米議員の嘆き」。一言でいへば、地方議會議員の「議員報酬」「費用辨償」「政務調査費」の三重取りを批判した内容、といってよからう。そのうち、政務調査費について書いた部分。

〈引用ここから〉
(政務調査費は)大きな府県では(中略)年間六〇〇万円。(中略)議員さんが勉強するための費用だろうが、ほんとうにこんなにかけているのだろうか。(中略)
 次に大きいのは書籍資料の購入だろうか。これも知り合いの大学教授に聞いてみた。(中略)文科系の大学の場合、研究費は大きくないのだそうだ。(中略)
「僕たちはその一〇分の一もありませんよ。でも、それでも使い残しています。だって少々高い本でも一冊の単価は三千円。能力的に年間一〇〇冊も読めません。三千円に一〇〇を掛け合わせてごらんなさい。三〇万円ですよ」(後略)
〈引用ここまで〉

地方議會議員の政務調査費といふのが非常識に高額であるといふ趣旨には反對しない。それにしてもこの大學敎授のはなし、といふのは不自然ではなからうか。一般向けの本でも3,000圓ぐらゐの本はそんなにめづらしくない。學者どころか、大學院すら出てゐない粗忽亭でさへ、そのぐらゐの値段の本はときどき買ふ。學術書、專門書となれば、もっと高い本はいくらでもある。部數の見込めない分野の本なら萬をこえるのはあたりまへ。資料集のたぐひになると十萬をこえる本だっていくらでもある。場合によっては、高價な古書を買はなければならないこともあるだらう。しかも本を讀むのが商賣、とでもいふべき文科系の大學敎授が年間100册も讀めないって、本當だらうか。一般の勤め人が趣味で本を讀んでゐるのとはちがふのだ。その本の一部が必要な場合もあらう。さういふことをふくめたら、1日に1册や2册讀んでゐてもをかしくはないと思ふが。(研究者のかた、小文をお讀みでしたらコメントください)
自説の主張の補強のため、いい加減な數字をでっち上げるのはちょつとなあ、と思ったことであります。

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私も最近ブログ始めました。よろしくお願いします。

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