« 久保ジェン後記 | トップページ | 8月20日 Bondage Fruit + Yae at アサヒ・アートスクア »

帰省中の記

8月14日から20日まで、恒例の夏の帰省。
某難病(特定疾患121種のうちのひとつ)をわずらっている父が元気そうで安心。年末年始はかなり状態がわるかったのだが、薬をかえたところ、それがあっていたらしい。もっとも、つよい薬なので、血中濃度を測定しつつの投薬とのこと。まえの薬もそうだったのだから、これはしかたがない。
おもしろいのは、薬をかえてから、父の髪の毛がふさふさになったということ。うちはそもそも髪の多い家系だが、さすがの父も60歳をこえたころからはうすくなってきていた。そのうえ、まえの薬が抗癌剤の研究からスピンアウトしてできた薬のためか、飲みはじめてから相当うすくなってしまっていた。ところが、薬をかえてから、どんどんはえてきたらしい。毛の色は白いが、量だけは30~40歳台なみになっている。とてもあと数箇月で70歳とは思えない。この薬を研究すれば、発毛剤ができるかもしれない。でも、さきに書いたとおり、副作用の問題があるから、むずかしいかも。ちなみに免疫抑制剤系の薬だそうだ。
15日は漫研OB会。まえから疑問におもっていた、最近よく見かける「○○大学大学院教授」という肩書きについて、某大学教授の某先輩に質問。いろいろ教えてもらう。なるほど、あとでしらべてみたら、筆者の母校の教員の肩書きも、のきなみ「大学院教授」とか「大学院助教授」になっている。いつのまにか世の中、こんなふうに変わっていたのだな。ついでに東京都立大学がなぜ首都大学東京に変わることになったかの裏話も。笑う。
某日、弟一家と会食。甥(0歳児)が夏風邪で熱を出してしまったが、なんとかなる。
帰省中はひまなので、近年ほとんど読まなくなってしまった(フィクションに対する興味がきわめてうすくなってしまったため)小説を2冊読む。
1冊目は志津三郎「鳥居元忠」。9年前に買って積読だったもの。駄作、というよりは愚作。小説としてのわくわく感等皆無。文章も読みにくく、まともに読んでいると、すごく時間がかかる。史料の使いかたなどもきわめて恣意的。家康に関する各種のエピソード(印地打ちの話など)を口をきわめて否定するのみならず、このような話を信じるから日本は道を誤ったのだ、というような説教まがいのことまで書いている。その一方で、桶狭間のおり、蜂須賀小六らが百姓に変装して、今川の陣にご機嫌伺いにいって油断させた、などという「武功夜話」(偽書の可能性がきわめて高い)のヨタ話をそのまま書いていたりする。御丁寧に献上品の内容までひきうつしている。書いていて、戦国時代の尾張に唐芋があるだろうか、という疑問が頭に浮かばなかったのだろうか。
ほかにも事実関係は無茶苦茶。元忠が四十いくつまで独り身だったり、馬場美濃守の娘が正室だったり、嫡子忠政が馬場美濃守の娘の子だったり。馬場美濃守の娘が元忠の側室になったのは武田氏滅亡の天正10年(1582年)、忠政が生まれたのは永禄9年(1566年)。いくら小説(フィクション)とはいえ、歴史ものなのだから、これぐらいの事実関係はまもってほしい。
そのうえ、元忠や参河武士たちを持ち上げるためか、家康を凡将、というより愚将としてえがき、彼らの補佐によってなんとかその身をたもっていたように書いている。家康が天下を制したかげには参河武士団の力が大きくあずかっていたことは粗忽亭も否定しないが、家康がここでえがかれたような優柔不断の愚将であれば、天下を取れたわけがない。粗忽亭は元忠の縁につらなる(母方の先祖)ものであるが、こんなかたちで顕彰されてもうれしくもなんともない。積読のままにしておけばよかった。
ちなみに著者の志津三郎氏、歴史小説家というわけではないらしい。調べてみたら、時代小説を中心にスパイ小説やらアクション小説やらミステリーやらなんでもこい、な作家のようだ。それにしても、そういう人がどうして鳥居元忠のような地味な人物を題材にえらんだのだろう。
「鳥居元忠」に時間を取られてしまって、帰省中はもう1冊しか読めなかった。桐生祐狩「物魂」。こちらは1年前に買ったもの。と学会での某事件がベースになっており、と学会会員がモデルの登場人物がつぎつぎと殺されていく、というのに興味をおぼえて買ったのだ。桐生氏がと学会員かどうかは知らないが、モデルとなった会員たちに許可を求めたら、みんな「できるだけひどい殺されかたにしてくれ」と要求したというのは彼ららしく、さすが。そういう余計な興味を別にしても、充分水準作のホラー。読んでいて、つぎの展開が気になる、エンターテインメントとしての役割をはたしている。小説はこうでなければいけない。

« 久保ジェン後記 | トップページ | 8月20日 Bondage Fruit + Yae at アサヒ・アートスクア »

コメント

はじめまして鳥居元忠ファンのMASATOと申します。鳥居元忠に関する記事を興味深く拝見しました。また元忠のご子孫の一人であるとのこと。私も鳥居家にゆかりがある者で鳥居元忠と鳥居家に関するホームページを作りましたので宜しかったら御覧になって見て下さいね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/8411/5859050

この記事へのトラックバック一覧です: 帰省中の記:

« 久保ジェン後記 | トップページ | 8月20日 Bondage Fruit + Yae at アサヒ・アートスクア »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

ninja