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山本直樹さん、ちがいます

私は大学時代は変態音楽愛好家ではあまりなかった(※1)。当時、私が一番エネルギーを投入していたもの、それは吾妻ひでお先生の漫画と、そのファン活動だった。公認ファンクラブに2つも加入し、その会報・会誌に原稿を書き(※2)、毎月、片道約2時間かけて例会にかよい、はてはその前日に例会場ちかくの会員宅に泊まりこみ、唯一の黙認ファンクラブとも友好をむすび、SF大会に参加し、その中で企画やイベントをやり、そのための自主制作アニメにかかわり(※3)、それ以外の独立のイベントにもかかわり、という具合であった。
その吾妻ひでお先生の新刊「失踪日記」がたいへん話題になっている。いま、googleで検索してみたら、約70,700件もひっかかった。当然、このブログでもこの本にはふれなければならないのだが、まだ入手できていない。AmazonでDVDなんかと一緒に注文しようと思っていたら、いつのまにか「通常4~6週間以内に発送します。」になってしまっていたのだ。
というわけで、「失踪日記」を取り上げるのは後日。そのかわり、というわけではないが、「オリンポスのポロン」1、2と「ななこSOS」1がハヤカワコミック文庫から出たので、取り寄せた。もちろん、もとの本(※4)は持っている。だが、吾妻先生の本は、新装版などが出れば、それもかならず買うことにしているのだ。
今回のハヤカワ版には、一部、描き下ろしのおまけマンガなどが入っている。それだけ目を通そうとして、結局、あちこち読んで(読みなおして)しまった。吾妻先生の新装版を買ったときはいつものことだ。
あらためて思った。吾妻先生というのはまぎれもなく天才だ。なにをいまさら、と言われそうだし、自分でもそう思う。でも、やはりそうなのだ。今までに何度そう思ったことだろう。吾妻先生の作品というのは、読みかえすたびにそう感じてしまう。
「きまぐれ悟空」(※5)のサン・ワイド・コミックス版が出たときにも、なんておもしろいんだ、と感動した記憶がある。はじめに読んだときにはそれほどとは思わなかったのだが、あらためて再読して、その価値に気がついたのだ。
「ふたりと5人」も、かつてはたいしたことのない作品だと思っていたが、1995年~1996年に新版が出たときに読み返してみたら、おもしろかった。「ふたりと5人」は傑作、「きまぐれ悟空」は大傑作といっていいレベルの作品だった。ところが、「不条理日記」や「メチル・メタフィジーク」や「やけくそ天使」や「スクラップ学園」や「陽射し」や「どーでもいんなーすぺーす」や「ネムタくん」や「みだれモコ」や「翔べ翔べドンキー」や「やどりぎくん」といった超傑作群を同時並行に読んでいた身には、比較のうえで色あせて見えていただけだった、ということだ。
話をもどす。今回のハヤカワ版の書き下ろし部分を読むと、たしかにかつての、天才とよばれたころに戻りつつあるのを感じる。なによりも荒れ放題だった絵が、最盛期のレベルにほぼ戻ってきているのだ。
ところで「ポロン」の2巻には山本直樹さんが解説を書いているが、そのなかで山本さんが初めて読んだ吾妻先生の作品のタイトルを「レットイットビート」と書いている。それも2回も。
山本さん、違います。あの作品のタイトルは(そして主人公の名前は)「エイト・ビート」といいます。解説文そのものはいいことを書いているんだから、こういうところをまちがわないでください。神は細部に宿るのです。しかし編集部もちゃんとチェックしてほしいよなあ(※6)。
それから「ななこ」の1巻には、当時のLPレコード「ななこSOSドラマ篇」(※7)と連動して描かれた「悪魔のような貴男」がフルカラーで収録されているのはよいのだが、その初出が『ななこMYLOVE』(????年??月)となっている。編集部よ、しっかりしてくれ。同書の出版年月ぐらい、ちょっと調べればわかるはずだ(ちなみに1983年11月)。
早川書房は、奇想天外社とならんでSFギャグ漫画家としての吾妻先生を世に知らしめた出版社だ。奇想天外が「不条理日記 SF大会篇」をSFマガジンが「メタル・メタフィジーク」を載せなければ、私は吾妻ファンになっていなかったかもしれないのだ。それだけに、早川書房にはしっかりしてもらいたいのだ。


※1 山下洋輔さんや難波弘之さんのファンだったので、またっくなかったわけではない。
※2 今とは筆名はちがう。
※3 技術があるわけではないので、トレスと彩色だが。
※4 「ななこSOS」は光文社JUST COMICSで1983年~1986年に全5巻で(正確にいうと5巻は光文社コミックス)、マガジンハウスMAG COMICSで1996年に全5巻で出ている。「オリンポスのポロン」は秋田書店プリンセスコミックスから1979年に全2巻で、また、「おちゃめ神物語 コロコロポロン」は双葉社100てんランドコミックスから1983年に出ている。筆者はすべて出た当時に買っている。
※5 これは3回出版されている。
※6 吾妻先生も事前に解説文は読まれなかったのだろうか。
※7 当時放映されていたアニメ版のレコードとして出た。

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